ナズキ(ნაზუქი)は、ジョージアのシダ・カルトリ地方と南部地域の伝統的な甘いパンで、数世紀にわたる歴史を持ちます。名前はおそらくペルシア語に由来し、「精巧な」または「上品な」という意味だと言われています。ナズキはシナモン、クローブ、カルダモンで味付けされ、レーズンが入っていることが特徴的です。伝統的にトネ(ジョージアの円筒形粘土オーブン)で焼かれ、カルトリ地方では復活祭の祝祭で儀式用のパンとして供されてきました (日本の赤飯のような存在でしょうか)。

スラミのナズキ通り
シダ・カルトリ地方に位置するスラミ (სურამი) という町は特にナズキで有名で、欧州自動車道路E60号線沿いに数多の木造小屋が並び、それぞれが旅行者にこの温かいパンを販売する光景を見ることができます。

20世紀末、ジョージアが経済破綻の危機に瀕していた時、誰かがスラミのE60号線沿いでナズキを売り始め、その成功を見た人々が次々と道路沿いにナズキ屋を開業したそうです。ジョージアの真ん中あたりに位置するスラミは長年ジョージアの東西を結ぶ交通の要衝であったため、スラミのナズキは全国的に有名になりました。
2025年に新しい高速道路が開通したため、現在はスラミの「ナズキ通り」を経由せずにジョージアを自動車で横断できるようになりました。果たしてどれくらいの店舗が今後も営業を続けることができるのか、スラミのナズキ文化は岐路に立たされています。
2025年9月
